地球の三角、宇宙の四角。
罵り合いと罵倒の声はボルテージを上げていき、自然と完全な２人組へとなっていった。

それぞれはお互いに向き合い、お互いが頬をビンタし合うまでに発展をした。

ビンタする方もされた方も言葉ですらない奇声を上げてビンタをした。

なにかのドキュメンタリー番組でこのような光景を見たことはあるような気がするが、それがどのような趣旨で作られたＶＴＲで何を目的としていたフィルムなのかは思い出せない。大企業の新人教育の研修か巨大な宗教かカウンセリングか。

いずれにせよ、異質ではあるが見たことがない理解できないという光景ではない。そう思うと自分が妙に冷静であることに顔がにやけてきた。笑っている自分の顔を触ってみると自分がなぜ笑っているのかわからなくなって口を塞ぐようにして指で頬を押さえつけた。

指の力で笑い顔を強引に変えた後に、ぎゅうと頬を指でつまんだ。自分で思いついた動きではない。昔にＴＶで見て覚えた記憶がさせた仕草なのだろう。あくびを見てあくびしてしまうような。あくびという文字を見てあくびをしてしまうような。

それにしても、なんだかぼーっとして、ふわふわとする。痛みがあるから現実なんだろうか。

指に力を込めても強くつまんでるということだけで、痛みはさほど感じなかった。強くつまみ続けていても、その感覚はだんだんとなじんで普通になって、しばらくのあいだ頬を強くつねったまま立ちつくしてどこを見るともなく同じ事が何回も続くこの光景を見ていた。

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