地球の三角、宇宙の四角。
朝礼が終わりにさしかかったのか老人の隣の男がまとめに入った。

大きな拍手が鳴りやんだ頃に同じ体勢で疲れていたのか、鉄のドアに寄りかかるとガコンと大きな音を立ててしまった。放っておけばよいものの見つかってしまうと焦り、横開きのドアをあわてて締めてしまった。

わずかな隙間だったのにもかかわらず、ガンと結構大きな閉まる音。そして誰だ。誰か居るのか。と、ドアの向こう側から声がして足音がした。

怖くなってドアに手を掛けるがドアの向こうの人数が頭に浮かぶ。とてもじゃないけど1人でこの扉を閉め続けることは無理だろう。

かといって逃げ切れるとも思わない。

後ろを振り返ると廊下があるので、とりあえず走る。

揺れる景色の中、随分遠くに扉が一枚、さらにその奥にトイレがある。

トイレまで走って個室に。

そう考えが浮かんだぐらいに腕を掴まれて何人かに取り押さえられた。

頭に浮かぶのは、映画やドラマでよくあるような尋問部屋で、ぶ厚いガラスの向こうに、部屋を見下すような位置からさっきの老人とスーツの男が笑っている。

笑うな。私を見て笑うな。

尋問部屋のイメージを振り払った。だけど現実は振り払えない。激しく抵抗してみせるも両腕とお尻の上の服を掴まれて身動きが全く取れないまま、朝礼の行われた会場まで連れて行かれた。




< 107 / 232 >

この作品をシェア

pagetop