地球の三角、宇宙の四角。
「かなくんも、どこにも行かないで!」

「へ? どうしたの? どういうこと?」

浮かんだ事が上手く言葉にならない。困り、戸惑うかなくんに抱きついて顔を胸に、うずめた。

スーツの繊維の匂いがする。こうしていれば人の目も気にならない。かなくんはそっと抱きしめてくれた。

「だいじょうぶだよ。はゆみ」

通り過ぎていく人の私を見る気配や足音がだんだん遠くなって消えていく。全部この背中を包む大きな手が吸い込んでくれているのだろう。

「わたしはこのままがいい」

「だいじょうぶだよ、どこにも行かない」

何度も目をつぶったまま頷いていると急に怖くなった。目を開けた時には、もういなくなってしまうのではないか。なんだかそう思えてきて、怖くなって抱きしめる両手に力を込めた。
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