地球の三角、宇宙の四角。
どすんと腰を下ろすと太陽の光で埃がチラチラと光って見えた。

タクシーの後部座席に座っていて、行き先を言おうとしている。上手く思い出せないのでかなくんに握られた手を剥がして強く握りなおした。

どちらの汗かわからないが、じんわりと濡れていた。

運転手にようやく思い出した住所を伝えたが、運転手は首をひねるばかりで、近くにある有名なビルの名前を出しても運転手は怪訝な顔をした。

飼っているプレイリードッグの“なっとう”の顔が浮かんだ。ずいぶんと餌をやってないので心配だ。

後部座席から身を乗り出してカーナビのタッチパネルを触らして貰ったが4丁目までしか表示されず、私の住む5丁目の選択肢は現れなかった。

ホラという顔をした運転手にパークアベニュー通りと236号線の大きな交差点までお願いしますと言うと、小さく返事をして車は走り出した。かなくんの顔を見ると、まっすぐに前を見たまま考え事をしているようだった。
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