地球の三角、宇宙の四角。
入り口の自動ドアを抜けると、全面鏡張りの長い通路だけがあって、奥から滝の音が聞こえている。

うつむいて少し歩くとパンツが丸見えで、しばらく進むと全面合わせ鏡の2人がズラズラと並んでいた。

「小さい頃さ、遊園地の鏡張りの迷路で1人で泣きながら脱出した事があってね」

と、かなくんが話し出す。

「途中からわけがわからなくなって、割れてしまうんじゃないかなってくらいぶつかりながらさ。割れてもいいから出たいってなって」

隣にいる人が小さい頃の姿で泣きながらオデコをぶつけて走り回るのを想像した。

「あちこちぶつけたんだけど、ああゆうあぶないアトラクション。今はないよね。ここも一本道だし」

自動ドアを抜けると真ん中に水瓶を持つ宗教的な裸婦像で出来た噴水があり、ざばざばと傾けた水瓶から水があふれ、大理石の池をなみなみと満たしいた。

裸婦像の片方のおっぱいと顔の半分は、えぐれていた。

タッチパネルをみるかぎり、電車の車両のようなものや、部屋中に小さなカラーボールがしきつめられたもの、和室の真ん中に日本庭園と池がある部屋、牢屋と貼り付け台のある赤い部屋と、どれも突き抜けた部屋のようで目が点になった。

普通の部屋もあり安心をしたが、かなくんの選んだ部屋は、なぜか日本庭園だった。


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