地球の三角、宇宙の四角。







はゆみ、はゆみと上から声が聞こえる。

目を開けるとかなくんが覗き込んでいた。一路くんを覗き込む老人のような顔で。

「はゆみ、どうする?もうちょっと寝る?」

「なんじー?」

「さぁ?」

顔が近づいてきてキスをされる。

どうやら昨日のままらしい。そのことがうれしく、実感したくて抱きついた。


このまま離さないでいて。


「どうした? なんか怖い夢でも見た?」

「全然。

全然怖くない夢」

「どんな夢?」

まさか枯れBLとは言えない。


うまく一路くんをかなくん、昭蔵さんを私に置き換えて青空の下のベンチで寝転がるハイキングの話をした。

「へー」

と、声を漏らしながら、なんとも不思議な表情でかな君は話しだした。

「あのとき俺が作ったおにぎりが硬いとか、もっと空気を含んででやわらかく握れとか文句ばったかりいってたけどな。

だからほとんど俺が食べたんだけど、あれさ、二合ぶんだぜ二合」

と笑いながら話してはくれるが、瞳の奥がなにかを探しているように揺れていた。

そんなことが実際にあったんだろうか?

あったのだろう。

だけど覚えていないというわけではなくて、どんな返事をしていいのかわからなくなる。

もしかしたらわたしがいなくなれば、元々いた私なら、うまく思い出話の続きが出来るのだろう。あの青空と2人の会話は元々この世界にいた私が私に見せた景色なのかもしれない。

そう考えると本当に申し訳なく思う。

罪悪感にかられて、そのことをまじめに話てみることにした。いつまでも薄皮ミルクティクリームパンの話で盛り上がることしかできない私だと思うなよ。


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