地球の三角、宇宙の四角。
ぎゅっと目を閉じる。

くだらない人生だった。何をやっても中途半端だった。走馬燈なんて出ない。出てくるのは映美の笑っている顔だ。

クラクションの音とブレーキ音、車の潰れていく音が車内に響き渡り、握っていたiphoneが発光した。



トラックが出てきて事故をするイメージをした庄谷 奏多が、目を開けたときには逆行など気にもせずにアクセルを床まで踏んだ。

「大丈夫、このまま直進」

合流間近で、iphoneが急に喋る。

逆行している白い営業車の暴走車は、ほぼノーブレーキで川沿い道へと合流をし、それに乗る庄谷 奏多は、後ろからする恐竜の悲鳴のようなブレーキ音とクラクションの音を聞いた。

バックミラーを覗くとイメージしていたまんまのトラックが、白い煙を上げて滑りながらカーブの手前で止まるのを見た。

エバンゲリロンのナビが喋る『スピード出していいことなんかひとつもないんだからねッ!』

「ほ、ほんとだねぇ」

本当に何やってんだろう。トラックがもう少し早かったら、いや、自分があんな無茶な加速していなかったとしたらドンピシャだったなと身震いをした。

頭の中には自身とトラックとが衝突しているシーンが浮かんだ。

センターのHDDナビはリルートして5分。iphoneのグーグルマップもそのまま5分。


エブァンゲリロンナビのミサオさんは言う。

「リルートを行うわ」

『あんまりミサオに迷惑かけないでよね』

いつまで経ってもルートを表示しないままで、画面にはペンギンが汗をかきながらくるくると回っていた。

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