地球の三角、宇宙の四角。
一番最初に感じた違和感は、電話だったように思う。
グラマシーニューヨークのケーキが食べたいという映美の言葉、そしてその声のトーン。同じ声なのに、違う人のように聞こえた。
さらには車の助手席にはグラマシーニューヨークの紙袋があって、これはキルフェボンのフルーツタルトの行列に嫌気がさして簡単に並ばずに買った物で、たしか、映美はグラマシーニューヨークのキャラメリゼしたナッツのやつは美味しいと入っていたがケーキは食べたこと無いように思う。
あとから詳しく聞いた脳の障害、記憶の障害としても明らかに奇妙な感じがしたし、いくら記憶の前後があいまいになるといっても、未来を見るなんてことはありえないだろう。とは思ったんだ。
医者のするどんな説明も最後まで納得がいかなかった。偶然の一致にしては違和感があってずっと引っかかっていた。
そのあとに綿菓子の話をする映美も僕のよく知る映美ではなかった。
そしてそのあとに苦しそうにしたあとに、僕のよく知る映美に戻ったんだ。それは一時的に、ではあったが。