地球の三角、宇宙の四角。
今までギリギリまで、ぼやかしていた事をはじめて完全に認めてしまった。

「そして、タクシーではゆみが話した場所に行けばマンションはなかった」

実際は行っていない、彼女が告げた住所がない時点で僕は確信を持ってしまったんだ。
僕が完全に認めたのがこの瞬間だったんだ。

「はゆみの実家も考えた、僕の家も考えた、ただそこに連れて行くと君はますます確信を持ってしまう

それが嫌だった


だから、


だから」

自分で話をしてて嫌になる。楽にさせてあげたかったはずが、自分が楽になってるような気がして落ち込んでいった。

そんな僕に「ごめん、ありがとう」と声をかけてくれた。

いままで、目を背けてきた、どこかで信じたくなかったこと、深く考えたくなかったことを認めて口に出した途端に堪えていたもの、我慢していたもの、誤魔化していたことが完全に壊れて真っ白になって、顔を見せれないほどにぐしゃぐになって感情が溢れた。

「いいよ」

優しい声で許してくれた。どうしょうもない自分を許してくれるという。

「ごめん」と頭をなでられる。母に甘えるようにお腹に抱きついて、情けない声で意味の分からないことを言った。

「おれは、ずるい

ずるくて汚い

軽蔑してくれ

優しくしないで欲しい

だけどわかって欲しい

失いたくないんだ

君との時間と、君とのこれからの時間を」

お腹の中に入れるものなら入りたいほど恥ずかしくて、しばらく顔を上げることが出来なかった。

彼女は「いいよ」といって頭をなで続けてくれた。



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