地球の三角、宇宙の四角。
黒くて丸い物体は、楕円形になった後、雨だれのような形になり、エレベータの床にベチャリと音を立て、液化した。
そのゲル状をした黒が目の前に飛んでくる。

ドンと凄い衝撃音がして、大理石の床をつつーと滑るように転げながら、凄い形相の幸村さんを見て自身が突き飛ばされた事を知る。

私を突き飛ばした幸村さんの腕に、黒い液体が絡まる。

「エレベータに乗れ!」

からみつく黒い液体は、叫ぶ幸村さんのクチの中へと進入していく。
幸村さんは、されるがママというか、同じ体勢をとり続けて動かない。動けないのか?

「幸村さん!」

何が起こってるのか、何がなんだか意味がわからない。助ける? この状況を?私が?

「早く乗れ! 乗ったら30階を長押ししろッ!」

黒い液体がドンドンと幸村さんの喋るクチの中へと入っていく、私が何とかしないと!

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