地球の三角、宇宙の四角。
ぴくりとも動かなかった幸村さんが、悲愴な顔になって「来るな!」と振り返りながら叫んだ。

動いた瞬間に、黒い液体はもの凄い勢いで、叫んだクチから這い出た。

幸村さんは全身をふるわしながら両手両膝をついて黒い液体を吐き出し続ける。

その吐き出した黒い液体は床に同化し、地面を滑るようにして懐中電灯の光が揺れる足音の方へと向かっていった。

一瞬だった。

懐中電灯の光が消えて、それと同時に男の悲鳴と叫び声。

しゅぽんと言う音と共に、一番前に居た男性が1人消えたのを確かに見た。

人が1人消えて、黒い物体も消えるのを見た。

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