地球の三角、宇宙の四角。
パープルグレイの指先が、最上階の30のボタンを長押しにする。爪先には、くすんだ銀色のラメが入っていた。
『ハイスピードモードに切り替わります』と英語のアナウンスが狭い室内に響く。
幸村さんは閉めるのボタンをカタカタとせわしなく押しながら「今日は遅くなりそう、一緒に居酒屋に行けなくて、ごめんね」と、言って閉まるドアをすり抜けていった。
「幸村さん!」
開くのボタンをカタカタしたり色んなボタンを押しても、何も反応がない。
ドアの隙間に腕を入れようとすると
幸村さんはメガネを外して、閉まるドアの隙間から、凄いスピードで私に投げかけてきた。慌てて両手と胸で受け止めるとドアは完全に閉まってしまった。
閉まる直前に見た幸村さんは、小さなピースを作り、幼い顔をして笑っていた。
エレベーターの照明がチカチカした。
「幸村さん!」
「幸村さん!」
何度も、両手でドアをたたきながら、はじめて憧れた人の名前を何度も叫んだ。
『ハイスピードモードに切り替わります』と英語のアナウンスが狭い室内に響く。
幸村さんは閉めるのボタンをカタカタとせわしなく押しながら「今日は遅くなりそう、一緒に居酒屋に行けなくて、ごめんね」と、言って閉まるドアをすり抜けていった。
「幸村さん!」
開くのボタンをカタカタしたり色んなボタンを押しても、何も反応がない。
ドアの隙間に腕を入れようとすると
幸村さんはメガネを外して、閉まるドアの隙間から、凄いスピードで私に投げかけてきた。慌てて両手と胸で受け止めるとドアは完全に閉まってしまった。
閉まる直前に見た幸村さんは、小さなピースを作り、幼い顔をして笑っていた。
エレベーターの照明がチカチカした。
「幸村さん!」
「幸村さん!」
何度も、両手でドアをたたきながら、はじめて憧れた人の名前を何度も叫んだ。