地球の三角、宇宙の四角。
養命酒サワーが好きで前歯の少し欠けたどこにでもいるOLが勤まるような会社は、上司も部下もころころ変わる。
慣れた頃にはまた違うことをさせられる。

お友達が出来たと思ったら転校するようなサイクルだ“さおりん”とも、いつか別れるのだろう。

そういうわけで、やりがいなんてない。
とりあえず毎日言われたことをこなしてお金をいただく、なぜなら私はプロだし、お金を稼がないと柔らかいお肉が食べられないのかと思うと働くしかないわけだ。

6月も半ばだというのに未だに5月病。めっきりやる気がなくなったのは山田課長がいなくなっただけではない。


ドアが開いた音がして、お疲れ様ですというみんなの声に釣られて私もお疲れ様ですと顔をドアの方にやると

「木下、昨日頼んだヤツ出来た?」

と、営業から帰ってきた庄谷 奏多(しょうたに かなた)が真っ先に私に聞いてきた。

と、いうところから、この話はいよいよ始まる。
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