地球の三角、宇宙の四角。
どうやってきたかもよくわからないのに、どうやって戻るのか?

さおりんの言うことは、いつもだいたい正しい。

今日が二回繰り返されているという現象にしても、ワールドラインがわずかに移動している。移動したと考えればそれなりに納得がいくが、そもそもどうやって? という部分がはっきりしないかぎり、私はもしかすると、この病院の初日をずっとループし続けることになるのだろうか?

ありえないことながら、ありえないなりに今日が繰り返されているということは判っている。という状態を続けるのだろうか。


出口があるとすれば、タイムマシンで病院に来る前の時間に戻るしかない。

『さおりん、ありがとう。どうやってきたかはわからない。でも私は、ここにくる前にどうしても戻らなくちゃいけないと思うの』

と、冷静に話そうとした瞬間にその強い言葉は、口から出ることはなく、わたしは、どうしたらいいのか解らない本能の部分に乗っ取られた格好になり、わんわんと泣き崩れた。

もともといる木下はゆみという器が耐えられなくなって崩壊をしたのだ。

ダムが決壊したかのように涙があふれる。口から出る言葉は、わたしはどうしたらいいのかわからないという言葉だ。

私だって、泣きたい! だけど、帰りたい。私は元の世界に帰りたい!

「さおり、わたしは、元の世界に帰りたい!」

泣きながらさおりんに伝えた。


「はゆみ、私に手伝えることがあったら、なんでも言ってよ」

さおりんは、ぎこちなく優しい顔で笑ってくれた。

ありがとうと感謝して、さおりんのくれた資料に2人で黙って目を通す、さおりんがいてくれるのにじっくり読むのも気が引けるし、涙で上手く読むことが出来ないし頭にも入ってこない。

だけど、どうしてもこの“どうやって来たのか”問題と“どうやって戻るのか”問題を解決させないといけない。

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