地球の三角、宇宙の四角。
頭をなでたその手が私の頬に触れた。

私はその手を、上からそっと触った。

「寝たらだいぶスッキリした。ありがとう」

「おなか、空いてない?」

「うん。 平気。ありがとう」

「ありがとうばっかりだね」

かなくんは少しだけ笑った。

「ごめんなさい」

換気扇の音、空調の音。照明の音まで聞こえた。

「手術は、明日だって」

そう言って重なる手を、指を絡ませるように握ってきた。

――明日に手術。

「そうなんだ……」

と、まるで他人事のように言って、課長の手を握り返すようにして指を触った。
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