地球の三角、宇宙の四角。
「かなくん、私の病気のことなんだけど」

院長先生の話の途中で気を失うようにして寝てしまったので、私は自分がどんな病気であるのかまだ知らないでいた。

かなくんはその話題を避けているのか、自分から切り出すようにして教えてくれようとはしない。

「大丈夫だよ。明日の手術はきっとうまくいく」

記憶の糸を辿って院長先生の話を思い出す。爬虫類のような顔をした先生が話し出した。

『実際に気を失うほど神経を圧迫する痛みがある事と、この腫瘍が出来ている場所にも関係があります』

かなくんが傍にいてくれて、かなくんに抱かれているときから頭の痛みは無い。

最初に感じた今日が繰り返してるというおかしな感覚も、ない。

黒い影に怯えることも、うるさい声も聞こえない。


「手術、受けないとダメかな」




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