barqueにゆられて



 夢のよう。
 まさか好きな人とアフターファイブを過ごせるだなんて…!
 と言っても、古橋さん自身の用事というのは、近くの雑貨屋さんに立ち寄ること。でもそれだけのことに私を連れ出すなんて、自惚れるな、という方が無理な話じゃない。
 その雑貨屋さんに留まったのは三十分程度。店長らしき人と話をしていたけれどさほど深刻でもないみたいで、ただ世間話をしに来たような、そんな軽い空気が流れていた。その雑貨屋さんは私も時折足を運ぶお店。特に変わったものもないだろう、と思っていたけれど、古橋さんが店長と話をしている間に、私は数点気になる商品を見つけてそれをまじまじと見つめていた。
 それからお店を出て暫らく歩いたところで、彼からとんでもない言葉が飛び出した。
「付き合ってもらって悪かったな。礼だ、どこか食べにでも行くか」
 マジでか!! 喜んでお供いたします!
「わ、悪いですよ、給料日前ですし…」
「関係ない。後輩と飯を食いに行く金を惜しんでいる先輩なんて格好悪い」
 ああ格好良すぎる! なにその持論!
「それに…、お前と少し、話がしたいしな」
 私、いつでもベッドインできます!



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