barqueにゆられて
店内はゆったりしたボサノヴァが流れ、間接照明は橙に光っていた。ユーカリのフローリングは傷ひとつなく綺麗なまま。店舗家具はチェリーのもので統一されている。カウンターの椅子はミハリカSで座部は白、脚は天然木のダークブラウン。隣との間隔を取った全6席でとてもゆったりしている。テーブル席は全て4人掛けで33席。テーブルはRT-WF-01のダークブラウン、椅子はミニマムのホワイト。テーブル下にはテーブルとお揃いのバゲージボックスもある。
「いいだろう?」
自分の店でもないのに古橋さんは自慢げに笑った。
「凄い…チェリーの中でもそれなりに値の張るものばかりですよね…」
「ああ。店の全体のインテリアがウッドと布地を多用しているからこれほど落ち着きがある。当然質のいい物を使っているから長時間座っていても違和感がないし疲れない」
そして古橋さんはカウンター奥に視線をやった。私も追いかけてそちらに視線を向けると、長い髪を髪ゴムで括り、黒いエプロンをつけた女性が手際よく作業をしていた。
「あの人が、マスターですか?」
聞くと古橋さんは頷いた。すると作業が一段落したのか、マスターがこちらを振り返った。そしてやんわりと微笑む。
「いらっしゃいませ」
ヤバイ! 超美人なんですけど! 私負けてるんですけど!
ダラダラ汗をかく私の横で、古橋さんはマスターに手を振った。
「どうする、カウンターとテーブルはどちらがいい?」
「……お、お任せします」
「どうぞ、お好きな席へ」
ならテーブルだ、と古橋さんは私の背中を押して先に行かせた。
お店の中はそれほどお客さんが来ていなかった。レストランバーとしてお店を開けて数分しか経っていないからだろうけれど、カウンターの奥から2番目には作業着のおじさんが既に腰を掛けていてビールの入ったジョッキを傾けていた。