きみを奏でる僕の指先。
その優しい音色に導かれ、私たちは出会った。
それは偶然なんかじゃなく、
彼によって作られた、必然的なものだったのか。
私たちの間に流れていたのは、
彼が奏でる優しい音色と柔らかい空気。
触れそうで触れない、少しもどかしい距離感。
近過ぎず遠過ぎず、そんな関係が私にはとても心地良かった。
本当は気付いていたのかもしれない。
彼が、私を好いてくれていることを。
優しい眼差し、
仕草ひとつひとつに、彼の想いを感じていた。
それはとても純粋で、彼が奏でる音色のように美しい。
とても、綺麗な感情。
「……先生、
僕、先生が好きだよ」
彼の指が、私の頬に触れる。
…身体が熱い。
彼に触れられたところ全てが、甘い熱を発している。
その熱に、私の心が溶かされてゆく。
隠れた欲望が、私のなかでくすぶる。