奇跡事【完結】
移動した先は、神殿の門の前だった。
周りには色とりどりの果実が生っている木々。
そして、その下にパチフィスタ達がいた。
パチフィスタは僕達が移動するのをわかっていたらしく、こっちを見ている。
相変わらずの微笑を携えて。
カタラの横に付き添っていたサーシャが僕とキョウに気付くと、立ち上がり走り寄って来た。
「ルーイ!キョウ!大丈夫なの!?」
目の前まで来ると、僕達が無事かを確認するように体をぺたぺたと触る。
その必死な様子が面白くて、思わず吹き出す。
「ルーイ!何笑ってんの」
キッと鋭い視線を送られて、僕は肩を竦めた。
「……サーシャ、カタラは平気?」
キョウがそうサーシャに尋ねる。
だけど、答えたのはパチフィスタだ。
「大丈夫だよ」
その言葉に、僕達はパチフィスタの方を見た。
「彼女が腕をくっつけてくれたからね」
「え?」
そうやって、ちらりとパチフィスタがカタラの横にいるカノに目線を送った。
カノは僕達を見て曖昧に笑う。