奇跡事【完結】
「そう!凄いんだよ!カノったら、腕をくっつけてさ、血も止まって!」
サーシャが興奮した様子で話す。
どうやら、サーシャの話では全てをカノが治療したらしい。
カノは魔法を使えるのか。
「……カノには礼を言わなくてはな」
カタラが薄ら目を開けて、そう呟いた。
その声は苦しそうだ。
だけど、意識はあるみたいでホッとする。
「……すぐに良くなる。パチフィスタ。肩を貸せ」
「えー!?何で男に貸さないといけないの?
サーシャちゃんならいいけど、むさくるしい男になんて貸したくない」
「……パチフィスタ」
「……はあ。仕方ないなあ」
そう言いながら、パチフィスタはカタラの腕を自分の肩に回すと立ち上がらせた。
「貸しね。すっごい大きな貸しだからね」
「わかった。好きにしろ」
「女の子、たくさん紹介してよ」
「……」
「何で黙るの」
「難しい問題だ」
それにぶーぶー文句を垂れるパチフィスタ。
カタラがうるさいと一蹴していて、僕達は吹き出して笑った。