奇跡事【完結】
……正しい事なのか、悪い事なのか。
果てしない魔力を手にした人物が、どう感じてしまうのか。
――――呑み込まれたら。
きっと、こういう事なのかもしれない。
どう利用するかは自分自身だ。
滅ぼすのも、癒すのも。
僕は絶対に、悪い事に使ったりなんてしない。
もう、涙なんて見たくないんだ。
あんな光景を見たくない。
そう心に誓うと、ぎゅうっと強く手を握り締めた。
僕も今日は早く寝よう。
エレノアに会った所為か、思考がおかしな方向に進みそうだった。
「ルーイ、もう寝るの?」
早々に布団に潜り込んだ僕を見て、サーシャが尋ねてくる。
「うん。今日は疲れたよ」
「そっか。じゃあ、私はキョウとカノとご飯食べてこようかな。
行こう。キョウ、カノ」
「ああ」
「うん」
キョウとサーシャとカノの三人が部屋を後にする。
電気が消された部屋は薄暗い。
眠りにつこうと思っていたけど、やっぱりまだ時間が早い所為か眠れない。
何度か寝返りをした後、ゴロンっと上を向く。
仰向けになって天井を見つめた。
エレノアは何を知っているんだろう。
言ってる意味が理解出来なくて、それはどうしようもなく僕を不安にさせた。