奇跡事【完結】


「……ルーイ、起きてるか?」


突然、カタラが僕に話しかけてくる。
とっくに寝てると思ったから、少し驚きながら体を起こした。


「起きてるよ」

「そうか」


ぼんやり。窓の外を見ているカタラがそこにいた。
ふいにこっちに視線を移すと、ふっと笑う。



「俺も浅はかだったな」

「……何が?」

「エレノアに勝てるわけないのはわかってたんだ」

「……」


一瞬にして奪い去られたカタラの腕。
息をつく暇なんてなくて、あっという間にカタラの腕はあるべき場所から落ちていた。


そして、何も出来なかった自分。


「パチフィスタが俺に魔力があると言ったな」

「うん」


“うん、魔法具に頼らなくても出せるけど、弱いぐらいの方が”


パチフィスタがそう言ってたのを思い出す。
確かに言っていた。
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