奇跡事【完結】
「望まれない子。双子はこの世に生まれ落ちた瞬間に、捨てられるんだ」
「え?捨てられる?」
「魔導士の親が、魔力が強いとは限らない。
俺は他の魔導士の事は知らないが……、少なくともパチフィスタはそうだった」
「……」
それに僕は口を噤んで目を見開く。
産声を上げ、誰もが歓喜する筈の赤子を双子だからという理由で捨てようとするなんて。
僕には理解出来ない。したいとも思えない。
「パチフィスタはどこか歪んでいる。
その原因が双子って理由だけなら、運命を呪いたくなるよな」
「……」
コクリと小さく僕は頷いた。
きっと、パチフィスタの事だ。
同情なんて欲しいと思わないだろう。
「俺は知らないが……きっと、エレノアやマークなんかにもそんな誰も知らない過去があるのかもしれないな」
「……マークおじさんや、エレノアにも」
「最初から善人のヤツも悪人のヤツもいないんだよ。
そうなるきっかけがあった筈なんだ」
「ねえ。それって…、キョウもきっかけさえあれば悪人になってしまうって事?」
「……」
カタラはハッとしたように目を大きくする。
少しだけ黙って俯くと、カタラは眉を顰めた。
それから、口を開く。