奇跡事【完結】
そういえば。
サーティスに言われた言葉。
“……俺を殺したければエレノアを殺せ”
そんな、まさか。
一つの仮説に辿り着いて、僕の心臓が変な音を立てて行く。
ざわざわとうるさく鳴り響いた。
……まさか、サーティスにその呪いをかけたのはエレノアなのか?
死ねない呪いをかけたのは。
パチフィスタは言っていた。
治癒魔法は使えるけど、痛いって。
だけど、サーティスは違った。
傷が勝手に塞がっていた。
それは呪いだから、なのか?
“でも覚えておいて頂戴。ルーイ。貴方はまた必ず私の元を訪れるだろうから”
近い内に、僕はきっとエレノアの元へ向かう筈だ。
それは魔力を解放して欲しいからじゃない。
真実を確かめる為。
これは僕しか知らない事実。
あの時、サーシャとキョウは側にいなかったんだから。
だから、僕は一人でエレノアに会いに行く。