奇跡事【完結】
「稽古サボってこんなとこで寝て!風邪引くよ?」
「風邪引いたら稽古堂々と休めるから、それでもいいや」
「ルーイ!?」
「ハイハイ」
「全く」
腰に手を当てて、ぷんすか怒るサーシャからは多分湯気とか出てる筈だ。
本当に毎日毎日、飽きないよね。
その時だった。
ドオオォォォォンと、大きな音が辺り一帯に響く。
「きゃっ」
「わ!」
「っ!?」
震える地面や、木々。
その音はすぐに収まった。
「……今の、音何?」
サーシャが胸に手を当てながら、心配そうに呟く。
だけど、僕もキョウもそんな大きな音に心当たりはない。
二人顔を見合わせて小さく首を振る。
「……今の村からじゃない?」
ハッとして顔を上げると、サーシャはそう言って弾かれる様に村へと向かった。