奇跡事【完結】

シンっとしてる中、最初に口を開いたのはカタラだった。


「……パチフィスタの事だ。どこまで本気かわからない。
ただ、呪いについては俺も知っている」


皆がカタラを無言で見つめる。


「長くなる。これは移動中にでも話そう。
デスタンはここから遠い。船でしか行けないんだ」

「船!?」


それに、サーシャが驚く。そりゃそうだ。
船なんて、乗るのも見るのも初めてだ。



「お前達は船も見た事ないんだろう?」

「ない!」

「そうか。それじゃあ、海もないのか」

「ない!!」

「はは。元気がいいな。サーシャは」

「ねえ、海って広いんでしょ?
すっごくすっごく大きいってのはマークおじさんから教えてもらった事がある」

「広いだけじゃない。とても綺麗だ。透き通っていて、神秘的なんだ」

「……楽しみだなあ」


サーシャが顔を緩ませると、カタラはまた声をあげて笑った。
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