奇跡事【完結】
「ん?」
「あ。えっと、海、綺麗だったね」
「ああ、そうだね。俺も驚いたよ。あんなに大きいと思わなかったから」
「うん。僕も」
そう話しながら、僕達は中へと足を踏み入れた。
食事はカタラがオススメしただけあって、本当に美味しかった。
出航の時間も近付いてきたから、僕達は船乗り場へと向かう。
そこにあった大きい船にまた目を見張った。
「凄い」
「ああ。長旅だからな。それなりの設備が備えられているんだ」
「楽しみだね」
「サーシャ顔が緩んでる」
「え。キョウ、それ本当?」
「本当」
「わあー顔に出ちゃってるか」
サーシャは嘘が吐けないからなあ。
僕はその様子を見ながら、一人苦笑した。
船に乗り込むとカタラはすぐに部屋に向かったが、僕達は暫く船内を歩き回っていた。
甲板で水平線を目の当たりにする。
さっきまで近くにあった港町が小さくなり、そして周りに何も見えなくなった。