奇跡事【完結】
俺の瞳に手をかざすと、何やら魔法をかけた。
さっきまで熱いぐらいに痛かった瞳から、嘘のように痛みが引いて行く。
これは治癒魔法なのだろうか。
何で、そんな魔法かけるんだ。
魔法をかけるだけかけると立ち上がり、その場を去ろうとするそいつに声をかけた。
「何で、プリル、を」
「……さあ。僕にあの人の気持ちなんて理解出来ないから。したくもないし」
「俺を、殺せよ」
「何で」
「プリルのいない、世界なんて……、生きてても意味がない」
段々とクリアになってきた、視界に映るのはもう意識のないプリルの姿。
半分の視界に映る、その姿。
抜け落ちた瞳。
あの綺麗な瞳が俺を見ることはない。
「それなら自分で勝手に死んでよ。僕は手を汚したくないから」
「じゃあ、何で治癒魔法なんかかけたんだよ!あのまま、死ねたかもしれないのに!」
「その方が楽しいかな、って」
「……は?」
楽しい、って?