奇跡事【完結】
「とりあえず、そんなところか。
俺とエレノアの事についても、呪いについても」
「なあ、カタラ。一つ、訊いてもいいか?」
一通り話し終えたらしいカタラに、そう尋ねたのはキョウだ。
カタラはピクリと眉を動かすと、「何だ?」と返し、キョウの言葉を待つ。
「サーティスって知ってるかな」
それに動きを止めたのは、僕とサーシャだ。
「……サーティス?」
だけど、カタラは首を捻っただけでその口振りからして知らないようだった。
「さあ、知らないな。そいつがどうかしたのか?」
「いや、知らないならいいんだ。俺達の村を滅ぼしたのが、そいつだったから。
だから、もしかしたら知ってるかもしれないと思ってさ」
「ケーラを?そいつがマークを殺したって事か?」
「そうだよ」
「……そんな強いヤツなら名前ぐらい知っててもよさそうだけどな」
カタラは手を顎に置くと、考え込んでいた。
パチフィスタが知ってたから、てっきりカタラも知ってるんだと思ってた。
そういえば、カタラの前でサーティスの話はしてなかった気がする。
そうか、カタラは知らないんだ。
じゃあ、パチフィスタはどうして知っているんだろう。
……昔、一緒にエレノアと行動してたりしたからかな。
パチフィスタとサーティスの話をしたのは、キョウ達がいない時だったし、一応口に出さないでおいた。