奇跡事【完結】
それから、僕達はカタラの昔の話や、旅してた時の話などを聞いて到着までの時間を過ごした。
そこにはカノも加わって、カタラの話に楽しそうに耳を傾けている。
それにどこかホッとしながら、僕も会話に加わった。
数日経って、やっとカタラの故郷のデスタンに船が到着した。
船から荷物を持って降りると、僕は大きく伸びをする。
これは、確かに村を出てしまう理由がわかるな。
来るまでに時間がかかるし。
とっても素敵な場所であっても。
「カタラ!?」
全員が船から降りた時、突然そんな大きな声がした。
皆でその声がした方を向く。
そこに立ってた女の人はカタラを見て、驚いているらしく目を見開いていた。
誰だろう?
その女の人は長い髪の毛を一つに結んでいて、化粧っけのないその顔は活発そうなイメージだ。
程よく引き締まった体。それに身長も高い。
動きやすさを重視しているのか、身に纏っているのは僕達と比べて軽装だ。至ってシンプル。
目をぱちくりとしていた彼女だったけど、カタラと再確認すると途端にくしゃりと破顔した。
それから。
「カッタラああああ!!久々じゃないか!!」
走り寄るとカタラに思いっ切り飛び付いた。
その人はぎゅっとカタラを抱き締めては再会を喜んでいる。