奇跡事【完結】
気付けば僕の瞳からは涙が流れていた。
サーシャの目からも。
キョウは眉間に皺を寄せて視線を伏せている。
カノは顔を俯かせていてよくわからなかったけど。
「よかった。ソアレが育ててくれて」
涙声でサーシャがぽつりと呟く。
もしも、あのまま両親に育てられたとしても、ここまでの愛情を貰えていただろうか。
実の親よりも、余程ソアレの方が愛情深い。
「あんた達の事をマークが育ててくれたんだろう?
これから何が起ころうとも、きっと大丈夫だ。マークは優しい子だから」
「うん」
「人嫌いのカタラがこうして連れてくるのも珍しいからさ」
「……ふん」
急に話を振られたカタラは眉を顰めながら腕を組む。
でも、ソアレは微笑むだけ。