奇跡事【完結】
消
「っ!?」
ガタっと音を立てて、僕達は椅子から立ち上がった。
ピシィっと空気が一気に張り詰める。
「サーティス……!!」
ぐっと拳を握り締めて、キョウが呟く。
その表情は険しい。
ソアレの首筋にはあの時、紅い血で濡れていた剣があてられていた。
「サーティス?」
だけど、ソアレは驚く素振りも、怖がる素振りも見せない。
淡々とそうキョウの言葉を反芻した。
「……それ以上、話をする必要はない」
冷たく言い放つと、サーティスは刃を首に食い込ませた。
微かにソアレの首から血が滲む。
「ここで私を殺してもいずれはわかる事さ。
サーシャとサーティスの関係も。マークとルーイとキョウの関係も」
「……」
「あんたも含めて、運命から抗う事なんて出来ないのさ」
「黙れ」
そう言うと、サーティスは躊躇なくその剣を引いた。
スパっと首筋が切れて血が噴き出す。