奇跡事【完結】


「……、なんて、僕は……弱いんだ」



カタラにキョウにサーシャまでもがサーティス相手に動いていたのに。
僕は蛇に睨まれた蛙のように、微動だに出来なかった。


ソアレの体を抱き締めていると、その隣にカノが腰を下ろす。
そっと、ソアレの頬に触れた。



「……弱いのは、ルーイ。貴方の心よ。
僕なんか。そう思ってるから」

「……カノ」

「サーティスを倒せるとしたら、貴方か、キョウぐらいしかいないのに」

「え?」



僕は涙でボロボロの顔を、カノに向けた。
カノは無表情で何を考えているのかわからない。



「弱い事は罪よ。強くなりなさい」

「……カノ?」


雰囲気がいつもとまるで違う。
これが、カノの本当の姿なのか?



「……ぅん、いっ」



後ろから声がして、僕はハッとして振り返る。
どうやらサーシャが意識を取り戻したらしい。

僕が動く前に、カノがサーシャに走り寄った。

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