奇跡事【完結】
「……実は、ね」
「ん?」
俯くサーシャは重い口をゆっくりと開く。
「私、サーティスを思い出したの」
「え?」
「どこで会ったとか、そんな次元じゃなかった」
「……どういう事?」
「私と、サーティスは兄弟なの」
「…………は?」
何を言ってるんだろうか。
そうだとしたら、マークおじさんが匿う理由も、サーシャを殺すと言った理由も、理解不能だ。
「ふっと頭の中に入って来たんだ。
ああ、この人の事好きだなって」
「……」
「兄弟だけど、私はサーティスを好きみたい」
「……ご、ごめん。ちょっと何を言ってるのか、よくわかんないんだけど…」
「だよね。私もわかんない」
頭が混乱してきて、手でこめかみ部分を抑えながら言われた事を整理しようとした。
サーシャはあははって力なく笑うだけだ。
兄弟ってどういう事だ。