奇跡事【完結】
「やっぱりサーティスを知ってるのか」
「知ってるよ。よーくね。ふうん。それを聞きにきたんだ。
それじゃ、ここで話せる内容じゃないし、どっか行こうか」
「どっかってどこだ」
「さあ。どこだろうね」
そう言うと、パチフィスタはスッと手を上げた。
ぐいっとどこかへ引っ張られる感覚。
僕達は一瞬でマヒアから移動していた。
だけど、ここはどこだ?
森の中?
周りを見渡しても、どこだかわからない。
「ここって、どこ?」
キョロキョロと辺りを見渡しながら、サーシャがそう尋ねる。
パチフィスタはゆるりと笑って、「秘密」と言った。
「家には案内出来なくてね」
「何でだ?前に俺達を連れてきただろう」
「それは彼女がいるからだよ」
そう言うと、パチフィスタは一人を指差した。……カノの事を。