奇跡事【完結】
「彼女って……、カノか?」
「カノ?ああ、そうか。カノって名前か。うん、そうカノ」
「はあ?どういう事だ。言ってる意味が全くわからない」
「そっか。わからないならそれでもいいと思うよ。
でも、彼女はここをどこだかよーく知ってると思うけど」
「……カノ、そうなのか?」
一斉に視線がカノに集まった。
僕達の突き刺すような視線に、カノは顔を俯かせる。
目を泳がせながら、首を振った。
「……わからない」
「……そうか」
「カノは記憶を失ってるんだよ、パチフィスタ」
「なんだって?失ってる?」
サーシャがそう口にすると、パチフィスタは首を捻って何かを考えているようだった。
だけど、すぐに納得したように頷いた。