奇跡事【完結】


「なるほどね。そういう事。なら僕はそれでいいや」

「全く意味がわからないぞ、パチフィスタ。詳しく話せ」

「その人の記憶が戻ったら全てわかるんじゃないかな?」

「……またお前はそうやってはぐらかす」

「はぐらかしてなんかないよ。僕は理解出来ないだけだから」

「はあ?どういう事だ」

「それよりも聞きたい事あったんじゃないの?」


パチフィスタは近くにあった大きい岩に腰かけると、首を傾げてゆるゆると口角を上げた。


それにカタラは肩を竦めて、溜め息をつく。
それ以上問い詰めるのを諦めたようだった。



「サーティスについて、知ってる事を全部教えてくれ」

「全部かあ。それは出来ないかもしれないよ」

「どうしてだ」

「自分で知って欲しいってのもあるからさ。
僕が言う事じゃないってのもあるし」

「さっきから、パチフィスタの言ってる事はわけがわからないな」

「そうかもね。でも、全部知ったらきっとそう言った理由がわかるよ。
だから、話せる事だけ話そうかな」



パチフィスタは腕を組んで、「どうしようかなあ」と呟いた。
僕達は顔を見合わせると、その場に座りこむとパチフィスタの話を待った。

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