奇跡事【完結】
「エレノアは何のために」
「さあ?僕はエレノアを理解出来ないし、前にも言ったけど理解したくもないから。
本人に聞けばいいじゃん。どうして僕に聞くの?」
「それも確かにそうだな」
「それで?ルーイは何か聞きたい事あるの?」
「え?」
パチフィスタの双眸が僕を捉える。
急に振られると思ってなかったから、何も考えていなかったよ。
聞きたい事。なんだろう。
たくさんあるけど、それは皆の前じゃ言えない事ばかりだ。
……僕は少しだけ考えると、口を開いた。
「エレノアと、サーティス。
この二人ならどっちが強いの?」
だから、そう尋ねた。
その質問に、パチフィスタは目をくりくりとさせた。
「面白い質問するね。そんなの、考えた事もなかったよ。
エレノアと、サーティスか~。そうだな。本気を出したらサーティスかな」
「本気を出したら?」
「サーティスの闇はきっと、エレノアより深いから。
相当憎んでると思うよ、エレノアの事。
ただ、サーティスにエレノアは殺せない」
「殺せない……?」
「うん。どんなに魔力が強くてもサーティスは神殿に入る事すら出来ないからさ~。
エレノアに呪いをかけられてる所為で」