奇跡事【完結】


僕はカタラに聞いた事を思い出して、そう尋ねる。
確かに、パチフィスタはエレノアと一緒にいた。


そして、カタラの大切な人と瞳を奪ったんだ。



「カタラから聞いた?」


それに僕はゆっくりと頷いた。
パチフィスタはカタラに視線を移すが、カタラは黙ったままじっとパチフィスタを見つめるだけ。


「一緒にいて面白かったから、かな」

「面白いって……人を殺したりしていたのに?」

「うん。だって、僕だって人ぐらい殺した事あるよ?」

「え?」


サラリとパチフィスタは告げたけど、僕は一瞬何を言ってるか理解出来なかった。
人を、殺した事が、ある?


そう、言った?



「初めて殺したのはね、僕のお兄ちゃんだよ」



ゆっくりとパチフィスタのその口角が上がり、同時に僕の背筋にはゾクリと寒気が走った。
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