奇跡事【完結】


「一通り聞いてくれたかなあ~?そろそろ帰る?」

「そうだな。一応、訊きたい事はきいた。他はエレノアかサーティス本人に聞くしかなさそうだ」

「僕は今日とっても機嫌がいいからさ。一つだけ教えてあげる」

「機嫌がいいだと?」

「うんっ。だって、もう会えないと思ってたんだから」

「……そういえば、マヒアを出る前に言ってたな」



“今日、僕はサヨナラを告げに来ただけ”
“きっと、もう会えないと思うから”


そして、呪いの事をパチフィスタは言っていたっけ。
全くその意味がわからなかったけど。



「これは運命だから、抗えないと思うけどね。
それでも、また顔を見る事が出来たのは嬉しいな~って」

「それは誰の事を言ってたんだ」

「秘密。その代わりに教えてあげるよ。
デシーヴがかつて愛した女の事を」

「……マークが、愛した女?」


それに、僕達は顔を見合わせた。
初耳だ。

ソアレだってそんな事、言ってなかった。


サーシャもキョウも固唾を飲んで、パチフィスタの言葉に耳を傾けている。
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