奇跡事【完結】
「一目惚れだって聞いた。見た瞬間に惹かれたって。
すぐに二人は恋人と呼ばれるモノになったけどさ。
相手はデシーヴを好きでもなんでもなかったんだよ」
「……酷い」
サーシャは顔を顰めながらそう呟く。
だけど、パチフィスタは首を傾げるだけだ。
「そうかな?その人が欲しかったのは、デシーヴの強さだけだったんだ。
その為に好きっていう愛情を利用しただけ。
ふふ、ここまで言ったら相手が誰だか、わかるよね?」
「そんな、まさか」
キョウが声を震わす。
愛情を、利用しただけ。
強さを、欲しがっただけ。
それって、まさか。
「……エレノアだっていうの?」
僕がそう尋ねると、パチフィスタはニッコリと笑った。
「だとしたら面白いでしょ?」
ハッキリ、言葉にする事はなかったけど。
きっと、僕達の想像するように。
……マークおじさんはエレノアを好きだったんだ。