奇跡事【完結】

それって、いつまで。
マークおじさんはずっと、エレノアを好きだったっていうの?


あんなに酷い事ばかりしてるエレノアを?



「人の心なんてわからないよ。誰にも。
デシーヴがそれでどれだけ悩んだかも、僕にはね」



もう、僕達は何も言えなかった。
俯いて、押し黙るしか。


「話はもう終わり」そう言って、パチフィスタはスッと手を上げる。
最後までパチフィスタはその微笑みを崩さない。


ぐんっと引っ張られる感覚の中、僕はマークおじさんの顔を思い出していた。

笑顔でルーイと声をかけてくれたおじさんの事を。



あの優しいおじさんは、嘘なんかじゃない。
……だからこそ。
エレノアを好きだったなんて、信じられないよ。


サーシャがサーティスを好きだって言ってたように。
好き、って気持ちを理解してない僕には一生理解なんて出来ないのかな。

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