奇跡事【完結】
それでも、僕は話がしたい。
サーシャとキョウには悪いけど。
僕は夜中抜け出して、一人でエレノアに会いに行くよ。
宿に泊まった僕達。
疲れていた事もあり、早々に眠りに就いた。
皆が寝静まった深夜。
僕はカタラとキョウが寝てるのを確認してから、布団をそっと抜けだした。
力を解放するべき、だろうか。
きっと、僕の力を封じ込めた理由ってモノがある筈。
それをエレノアなら知ってるんじゃないか。
マークおじさんがエレノアを愛していたのなら尚更。
宿を出て、夜の闇に紛れ込みエレノアの神殿を目指す。
昼はあんなに騒がしいのに、シンっと静まりかえっていて不気味だ。
マヒアを出ようとしたところに、誰かが立っていた。
その人物を見て、僕は目を見張る。
「……パチフィスタ」
「一人で行くの?」
「……」
その瞳が全てわかってると語っていた。
きっとパチフィスタにはお見通しなんだろう。
これからエレノアに一人で会いに行くって事も。