奇跡事【完結】
「それもいいけど、後ろにいるよ?」
「え?」
そうやって、パチフィスタが後ろを指を差したから僕は驚いて振り向く。
そこには木の陰にサーシャが隠れていた。
言い当てられて、サーシャはバツが悪そうにこっちに近寄ってきた。
「……サーシャ」
「ご、ごめん。物音がしたから部屋を出たら、ルーイが出てくの見えて付いてきちゃった」
「……はあ」
サーシャがまさか付いてくると思わなかった。
僕は頭を抱えながら溜め息をつく。
「ルーイ、どこ行くつもりだったの?」
「サーシャは宿に戻って」
「何で?……エレノアのとこに行こうとしてたの?」
「……」
「そうなんでしょ?」
「そうであっても、サーシャには関係ないよ」
「ルーイ」
例え、これから何か真実を知ったとしても。
それはサーシャには関係ない。
僕一人が傷付けばいい話。
「そうだ。お前には関係ない」