奇跡事【完結】
「どけ。邪魔だ」
「嫌だ!サーシャを殺させなんかしない!」
「ルーイ?殺すって、私を?」
「そうだ!ソアレを殺してから、言ってた。サーティスがサーシャを殺すって」
「!!」
そう言われて、ぎゅうっと僕の手を掴む力が強くなる。
サーシャを僕の背中に隠して、サーティスと対峙した。
圧倒的な力の差。
そんなのわかってた。足が竦みそうで、どうにか負けじと踏ん張っていた。
もう、奪われたくない。
誰も殺させたくない。
「サーシャ!ルーイ!」
サーティスの後ろからそうやって叫んだのはキョウだった。
キョウはサーティスの存在に気付くと、短剣を手にして刃先をサーティスに向ける。
それを見て、サーティスは微かに肩を揺らした。
「……くく、ははははは。
お前達に何が出来る?」
僕とキョウ。
二人に挟まれているのに、サーティスは焦る様子もない。