奇跡事【完結】
「いいだろう。この力を使わないでいてやる」
そう言うと、サーティスは腰にあった剣を鞘から引きぬく。
妖しくキラリと光ったその剣先がキョウを捉えた。
「来い」
「うああああ!!」
キョウが走り、サーティスに向かって行く。
キョウの素早い動きをサーティスは全て剣で受けていた。
カンキンっと刃のぶつかり合う音が辺りに鳴り響く。
僕はサーシャを後ろにしながら、固唾を飲んで見守る。
だけど、すぐにそれは終わってしまった。
キョウの負け、で。
キンっと弾かれたキョウの短剣。
それは遠くに飛ばされ、キョウは地面に倒されていた。
スッと剣をキョウの顔に向けたサーティス。
「……強くなりたいか?」
「……」
サーティスの問いに、キョウは息を切らし、キッと睨みつけるだけだ。
それにサーティスは口角を上げる。