奇跡事【完結】


「パチフィスタ」

「何?」

「そいつと、そっちにいる男を動けない様にしてくれ」

「ええ。自分の魔法使えばいいじゃん」

「殺してもいいならやるが、お前は結構そいつを気に入ってるのだろう?」

「……」

「そして、俺はこいつを生きたまま連れて行く」

「ふうん。わかった」



そう言うと、パチフィスタがスッと手をかざす。
すると、僕は膝からガクンっと崩れ落ち、地面に手をついて立ち上がれない。


何か、体全体に重い物が乗ってる様で身動きがとれなかった。



「ごめんね。すぐに終わるから」

「パチフィスタ、どうして、こんな事」


顔だけ動かして、パチフィスタを見る。
相変わらず、パチフィスタは笑顔を携えていた。


「……言ったでしょ?僕は面白い事が好きなの」

「これが?」

「そう。もしかしたらエレノアの最期を見れるかもしれないんだよ。
そんな楽しみな事はないさ」

「それの為に、サーシャを犠牲にしてもいいのか」

「……いや、僕がこうしなくたってきっと彼女は死ぬよ」

「は?」

「ん、違うな。間違えた。彼女はサーティスに殺される。
運命になんて誰も抗えない。そして、呪いにも、……ね」

「意味がわからない」

「だろうね。さあ、またこれは廻るんだ」


そして、パチフィスタが僕からサーティスに視線を移した。
僕もそれに倣うように二人を見た。


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