奇跡事【完結】


「もしかしたら、これを聞いたら優しいルーイの事だから決心が鈍るんじゃないかと思って」

「……けっしん?」


どうにか、そう声を絞り出す。
パチフィスタは曖昧に笑うと、頷いた。


そして、確認するように僕に尋ねた。



「サーティスを殺す決心」


ぴくりと僕の指が動く。
パチフィスタは黙ったまま、僕を真っ直ぐに見据えた。



殺す、決心が鈍るって?
僕がサーティスを殺せないって?


目の前で殺されたサーシャ。
頭に、脳に、目に、その光景が焼き付いていて鮮明に思い出されるというのに。


ぎゅうっと手を握り締める。
悔しさで顔が歪んで行く。


後悔したってし足りない。


ぎゅっと一度目を瞑ると、ゆっくりと開く。
そして、僕はパチフィスタを見据えてハッキリと言った。

< 227 / 446 >

この作品をシェア

pagetop