奇跡事【完結】
「もしかしたら、これを聞いたら優しいルーイの事だから決心が鈍るんじゃないかと思って」
「……けっしん?」
どうにか、そう声を絞り出す。
パチフィスタは曖昧に笑うと、頷いた。
そして、確認するように僕に尋ねた。
「サーティスを殺す決心」
ぴくりと僕の指が動く。
パチフィスタは黙ったまま、僕を真っ直ぐに見据えた。
殺す、決心が鈍るって?
僕がサーティスを殺せないって?
目の前で殺されたサーシャ。
頭に、脳に、目に、その光景が焼き付いていて鮮明に思い出されるというのに。
ぎゅうっと手を握り締める。
悔しさで顔が歪んで行く。
後悔したってし足りない。
ぎゅっと一度目を瞑ると、ゆっくりと開く。
そして、僕はパチフィスタを見据えてハッキリと言った。