奇跡事【完結】
「ふふ、そうなの。この子達が」
「エレノア様、よろしくお願いします」
「ええ。ちゃんと“処分”しておくわ」
「ありがとうございます、ありがとうございます」
そう言いながら、俺を産んだと思われる女を連れていく老夫婦。
俺を産んだ女は最後まで喚いていたけど。
うまく聞き取れなかった。うるさくて。
「さて、どうしようかしら」
おかしそうにエレノア様と呼ばれた人物が頬を緩ます。
その瞳を俺はじっと見つめた。
漆黒の双眸。
その瞳はどこまでも続きそうな闇だった。
「……」
俺の瞳を見つめ返すエレノアは、ふふと小さく笑みを零す。